噛まれて負った致命傷【戦評】第34節 ジェフユナイテッド千葉戦

噛まれて負った致命傷【戦評】第34節 ジェフユナイテッド千葉戦

こんにちは。

とっても美しい夕陽とそれに染まる空が、なんともセンチメンタルな方向へと感情を誘われているように感じられました。
そもそも夕焼けで染まる空なんてものは、寂しいとか切ないといった感情に自然と気持ちを持っていかれるものではあるわけですが、痛恨の引き分けに続いて無念の敗戦を喫した心はさらに脆いものです。

今節、または前節が終戦を知らせるものだとは思いません。そんなものは追いつけなくなった時に無機質な数字として嫌でも思い知らされるわけですから。とはいえ、疑いようもなく致命的な1敗となりました。

スタメン

ではスタメン。
新潟は前節から4人の変更がありました。
まずは前節共に負傷交代となってしまった新井とロメロがやはり欠場。
新井が務めていた右SBには出場停止明けの田上。そしてロメロが入っていたトップ下には前節左SHだった善朗が移り、その左SHには2試合ぶりのスタメンとなるゴメスが入りました。さらに前節は大本がスタートとして入っていた右SHにこちらも2試合ぶりのスタメンとなる至恩が入っていました。
また控えには3試合ぶりにモリシュンが戻ってきたことに加えて、航斗が初のベンチ入りを果たしました。

和輝と小島は言わずもがなここまでいいプレーを見せてくれていますし、大谷だって昨年全試合出場したように間違いなくチームに安定感をもたらしてくれる選手です。そこにいよいよ航斗も18人のメンバーに割って入ってきたということで、1人しか出られないのが惜しいほどの選手が揃っていることをつくづく実感します。
とりあえず、今節プロとして1つのステップを踏んだ航斗おめでとう。
次はスタメン奪取だ。

対する千葉は前節からの変更が1人。
2トップの一角が工藤から2試合ぶりに船山へ戻りました。
それ以外はベンチメンバーも含めて前節と全く同じメンバーで臨んできました。

前半

試合の入りはシンプルなボールを送り、それを拾った千葉が押し込みます。
1分には早速中央遠目のFKからゴール前に迫られたり、両サイドからクロスを上げられたりしましたがなんとかしのぎました。

それでも5分頃にはやはり戦前の予想通り新潟がポゼッションをする展開へと落ち着き始めます。
ビルドアップの際は島田がアンカー的に立って2CBと共にトライアングルを作り、善朗と中島がインサイドハーフ的なポジションから前者は主にライン間でもらうことを試み、後者は組み立てのサポートを担います。
そしてSHが開くのと同時にSBはいつも通りそのインサイドハーフ的な2人と重ならないように内側に入ってサイドとのコネクターになったりライン間で受けることを狙ったりしていました。
ただ基本的には田上の方がそうやって高い位置に出ることが多く、史哉は少し後ろに残ってビルドアップのサポートをするシーンが多かったかと思います。

最初にゴール前に迫ったのは8分。
中央やや左の中島から展開されたボールを右サイドで至恩が受け、落としたボールを田上がクロス。ファーサイドに史哉が飛び込んで来ていましたがここはわずかに合わず。ただ梅山さんも仰っていたように「SBからSB」という攻撃的な形を作ることができていました。

以降はボールをカットされた後も素早い守備で奪い返したり、クロスやセットプレーのこぼれ球を拾って2次攻撃を仕掛けたりということができるようにもなり、基本的に60%以上は新潟がボールを保持する形でゲームは進みます。
しかし、ライン間で善朗が受けたところからゴメスが善朗とのワンツーで左サイドを突破してクロスとか、元々サイドで張っていた至恩が下がるのと入れ替わるように田上がマウロからのフィードで裏へ抜け出したとりとか、テンポのいいポゼッションからの縦パスや、連動した動きから仕掛けを試みるシーンというのはそれなりに見られたのですが、なかなかチャンスらしいチャンスを作り切るところまでは至りません。

セットプレーに関しては基本ゾーンで守ってくる千葉に対して、短く繋いで目先を変えたり、空きやすいファーサイドを狙ったりという形は表現できていました。
19分。善朗の左CKからファーサイドのマウロが折り返したボールを田上がシュート。さらにテセも詰めに行きますが繰り返しDFに跳ね返されてしまいます。非常に惜しいシーンではありましたが、終わってみれば前半のシュートはこの1本のみとなりました。

前半終了、0-0。
千葉の集中した守備が光る展開でしたが、結局千葉の方もシュート自体は1本でしたし、安田からのクロスで1つ2つヒヤッとさせられたシーンこそありましたが、主題は“どうやって点を奪うか”ということに尽きる内容だったかと思います

後半

両チームとも後半のスタートから選手交代は行いませんでしたが、新潟の方は左に至恩、右にゴメスと、SHの左右を入れ替えて臨んできました。

早々の46分。
史哉の縦パスから善朗、至恩と繋いで左サイドからじりじり仕掛けます。
仕掛けてから中央の中島、そしてゴール前のテセと入り突破を試みたところで相手DFにカバーされてはしまいましたが、早速左に入った至恩が得意の形で見せ場を作りました。

対する千葉は47分。
新潟のビルドアップを高い位置で奪った千葉。
素早くゴール前に供給しクレーベの決定的なシュートシーンが生まれましたが、ここは和輝のファインセーブでしのぎます。
その直後のゴールキックからのビルドアップも前から嵌めて引っかけるなど、千葉は前半同様いい守備から速く攻め切る形を狙えていました。

とはいえその後は落ち着いたポゼッションからサイドの深い位置をテセが取ってチャンスを作ったり、セットプレーもいくつか得ながらプレーできていたりしたので、前半と変わらず押し込む形を作って行けそうかな、なんて思っていた矢先でした。

56分、左サイドから千葉のFK。
堀米のファーサイドへのボールを一旦は新潟がクリアしますが、それが小さくなってゴール前にこぼれると、混戦の中から最後はアランピニェイロに詰められました。失点。
FKの発端は舞行龍が一旦はナイスカバーでカットしかけたものの、すぐに千葉の選手に寄せられてイエロー覚悟で止めに行かざるを得なくなってしまったという流れだったので、千葉の守備の出足がまさに活きたシーンだったと言えそうです。
また悔やまれる点としては、ゴール前に入ってきたボールに対してゴメスと史哉が先に落下地点に入ってクリアをしにいけてはいたので、あの戻りながらの態勢とあそこまで深い位置であればセーフティーにCKへ逃げるようにクリアする判断でもよかったかもしれません。
まあ結果論と言えば結果論ではありますが…。

1点ビハインドとなった新潟は59分、ゴメス→矢村を投入。
矢村とテセの2トップで善朗が右SHへ移る形となりました。
しかし直後には、新井一のアバウトな前線へのボールをマウロがクリアするもクレーベに拾われてスルーパス。アランピニェイロが抜け出してそのままエリアへ入りシュートまで持ち込まれましたがここも和輝のナイスセーブに助けられました。
64分には堀米→米倉。
シンプルに疲労もあったのかもしれませんが、中に入って変化を付けられるレフティーの堀米から、SBもできて右足のキックもあり、より縦に特長を出せる米倉を右SHとして入れてきました。
1点リードした後も、コンパクトでソリッドな守備と手数を掛けないシンプルな攻撃を千葉は徹底してきます。

それでも65分あたりからは、先制点の直後に少し感じた千葉の勢いも落ち着いてきて、新潟がテンポよくボールを動かしながらチャンスを作ります。
まず66分。
2CBとその前に善朗、中島、島田が立つ形でビルドアップするところから、史哉が高い位置に出るのと入れ替わるように至恩が下がってボールを引き出します。そこへ中島が寄ってボールをもらうと、再び至恩とのパス交換から見事なターンで中央の狭いエリアを突破します。そのまま持ち出して右足でミドルを狙いましたがGKキャッチ。

さらに67分。
善朗がグッと下がってボールをもらうと中島に入れながら横に運んで島田へ。島田は再び中央の中島に渡すと、そこから左へ抜け出したテセへスルーパスが通ります。
左サイド深くからテセがマイナスに入れたボールを至恩が受けて、うまい反転からシュートまでいきましたが、残念ながらDFにブロックされてこちらもゴールとはなりません。

66分の方は梅山さんが「チームとして狙っている通りの形でシュートまでいけましたね」と仰るくらいスムーズに運び出しましたし、67分の方も至恩が下がることでゲリアを引き出して、それでできたスペースにテセが流れるという、意図した通りに相手を動かして崩す形も作ることができていました。
舞行龍も試合後に「1失点目のあとは良いリズムが作れてチャンスもあったと思う」と話していましたが、ここで追いつくことができれば……と改めて振り返ると思ってしまうような時間帯でした。

千葉からすると、そんな苦しい時間帯でも最後はやらせないという集中した守備を継続しつつ、70分にはまたアバウトなボールから舞行龍のコントロールミスを突いてクレーベが決定的なシーンを作りました。
ここもまたもや和輝のスーパーセーブで救われましたが、千葉としてもチャンスは作られながらも、ある程度狙い通りにゲームを進めることはできていたと言えそうです。

すると77分、新潟は史哉、善朗→荻原、大本を投入。
この交代に伴い、田上が3CBの左に入り、右・大本、左・荻原という槍を両翼に配置。中盤は島田、中島、至恩の3センター、もしくは至恩がトップ下的にフリーマンのような感じの3-5-2的な形へと変更してきました。
アルベルさん、残り15分を切って勝負に出ます。

しかし、なかなかビルドアップから前に運べなかったり、またはサイドで荻原や大本が仕掛ける形を作ることができなかったりする中で逆襲を食らいます。
81分、前線で矢村が粘るも新井一がカットして高橋が右サイドへ展開。米倉はシンプルに裏へスルーパスを送ると、手前に走っていた船山の奥からクレーベが抜け出し、出てきた和輝をかわして無人のゴールへ。2点目。
千葉としては狙い通りのカウンター。
まさに“してやったり”といった感じでしょう。

直後に千葉は船山、高橋、アランピニェイロ→川又、熊谷、見木という3人同時交代。
FW、ボランチ、左SHのポジションを一気に入れ替えて守備の強度を落とさないようにしてきます。
さらに86分にはクレーベ→チャンミンギュを投入。
FWを1人削りCBを増やして5-4-1にして、ハッキリ逃げ切りの態勢を整えてきます。

新潟の方は86分に決定機。
中島のフィードから至恩が右サイドを抜け出してクロス。
ファーサイドから走りこんだ荻原のヘッドは無情にもポストに嫌われます。

88分には中島→達也さんという交代。
とにかく攻撃的な選手を増やして得点を奪いに行きます。
投入直後に達也さんが左サイドからうまく抜け出してクロスからチャンスを演出すると、アディッショナルタイムには荻原が再びカットインシュートでゴールに迫ります。
終盤もいくつかのセットプレーからゴール前にボールを供給しましたが、結局最後までゴールは奪えませんでした。

試合終了、0-2。
新潟にとって痛すぎる8戦ぶりの黒星は、千葉としてみれば理想的な内容であり試合運びだったのだろうと思います。

千葉のゲーム

ポゼッションをしながら主導権を握ろうとするチームが落としてしまう典型的なパターンのゲームだったかと思います。
ポゼッションは67%ということで、恐らく今季の中でもトップ3に入るくらいの高い保持率だったかと思いますが、チャンスの数自体はそれほど多くは作ることができなかった印象です。

そんな内容において、まずは千葉の戦いが見事でした。
気持ちを入れ替えて臨んだ前節に引き続き、今節も可能な限り高い位置から守備の網を張り、プレスを掛け、またブロックを作る際も連動しながらコンパクトさを維持して構える守備ができていました。

そういった組織的で且つハードワークができていた守備の中でも、特にプレスを掛けた時のボランチ(+SB)の押し上げは以前と比べても明らかに改善されていました。
FWやSHが前から取りに行った際に、どうしてもSHとボランチの間にギャップができてしまい、そこに起点を作られて運び出されるというケースは前回対戦でもそうでしたし、うちとのゲーム以外でもよく見られたのですが、後半の立ち上がりに新潟のビルドアップを高い位置で引っかけてクレーベの決定機になったシーンがありましたが、そこも史哉のところまで田口が出てカットしていました。

相手にブロックを作られたところから崩すのは大変な作業であり、プレスに来てくれた方がスペースもできますし、剥がしてしまえば人数の少なくなった相手を攻めることができます。
新潟としてはこのプレスに来られた時に前へ運び出すための最初の起点作りに苦労させられた気はしました。

横に運ぶこと

もちろん相手を引き出すためのパターンはいくつか見られました。
前半の最初は史哉が少し残る事で後ろを3人にして数的優位を作り、島田を中盤に残して善朗や中島(時々田上)が中盤で間を取ろうとしていました。
続いて飲水タイムの頃になると、今度は島田が2CBの間に下がることで後ろの3人を確保し、両SB+善朗、中島が中盤にポジションを取る形が増えていた印象です。
さらに後半になると、また史哉が後ろに残り気味でボールを動かすパターンが見られたり、最後にはシンプルな3バックにするといった変化を施しながらプレーしていました。

それでも結局ゴールは奪えずに終わってしまったわけですが、そんな試合展開の中で、もっとあってもよかったのかなと思えたのが善朗のプレーでした。
後半途中に右サイドへ移った善朗はやはり中へ入ってプレーすることが多かったのですが、そうやって幅広く動いてボールに絡む中で、中盤や少し後ろで横にドリブルするシーンが何度か見られました。
教科書的に言えばそういう1人がボールを持ちながら横に移動するというのはあまり推奨されるものではありません。それだったらシンプルに早くパスを出してテンポを作って相手を動かせ、みたいなことを一般的には言われるでしょう。
しかし、ただパスで動かすのと人が持ちながら動くのとではやっぱり変わってきます。パスで横に動かすだけなら本当にスライドするだけでいいのですが、パスを出すのもシュートを打つのも結局はボールではなく人ですから、誰かに持ちながら移動されると、いつ縦パスが来るか、いつ縦に仕掛けてくるか、といったことも守る側としては気にしなければならなくなります。
至恩のカットインも、シュートやアシストへ行くための恐さだけではないですし、中島も今のようにボランチだと難しいですが、右SHに入っている時はそういったプレーがあったように思います。

こうした変化の付け方が果たしてどれくらい本当に効果的で重要なものなのかは、こうして書いておきながらまだ確信を持ててはいないのですが、後半失点してからの60分~3バックにするあたりまでにテンポが出たのはそういう善朗のプレーがあったことも多少は関係があったように感じたので書いてみました。

最後に

現実的に厳しい勝ち点差、翌日には玉乃さんの退任報道、辛さやら不安やらいろいろ苦しいですが、舞行龍が「自分たちはまだまだ、昇格を信じているので」と話していたので、当然自分もその気持ちで応援し続けますよ。

だっていつまでもヒーローであるアルビレックスの選手が諦めてないんですもん。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。

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