薄い紙を1枚1枚重ねるように【戦評】第13節 京都サンガF.C.戦

薄い紙を1枚1枚重ねるように【戦評】第13節 京都サンガF.C.戦
こんにちは。
この日は早くも今シーズン初めてフジファブリックの『若者のすべて』をラジオで耳にしました。
8月も下旬に差し掛かり、もうそろそろそんな時期かなんて思いましたが、やっぱりまだまだ暑いです。
そんな暑さ続く中での5連戦の4戦目。
勝てずとも負けず、負けずとも勝てず。まあ様々に思うことは各々あるでしょうけど、今回もいつも通り自分が思ったことを交えつつ、振り返ってみます。

スタメン


まず新潟のスタメンですが、前節からの変更が5人。
右SBに田上、右SHに秋山、ボランチにゴンサ。そして前節は後半からの出場だった新太と出場停止だった至恩がどちらも2試合ぶりにスタメンに戻りました。
そして問題の京都です。
前節からの変更が9名。11人の内、12節までで半分以上にあたる6試合以上スタメンに名を連ねたことのある選手はわずか2人(ちなみに新潟は7人)。さらに、上夷、川崎に至っては今季初出場で初スタメンという完全なターンオーバーをしてきました。
もう展望記事の意味のなさよ……。
毎度名前を挙げた選手がベンチとかベンチ外で、友達にも試合前「ここまで来たら毎回ベストメンバーで書こう」なんて優しくいじってもらう始末です。
まあでも考えてみれば京都は今季初の中2日のゲームでしかもアウェー戦ですからあり得ない話ではなかったわけです。と同時にそれを予想して展望するほど全部を見切れるわけでもありません。今季ユースから昇格した川崎なんて申し訳ないですがこの日が初見でしたし。だから、これからも展望は懲りずに書いていきます。

前半

まず、スタジアムMCの森下さんもツイートされていましたが、この日もうちがコイントスでエンドを替えてスタートしました。どういった理由なのか気になるところですが、山口戦はNで見て今回はSで見ていた自分としてはおかげさまでこの2試合の3ゴール全て目の前で見ることができました。
個人的なラッキーはどうでもいいとして、試合です。
スタートから激しいプレスでボールを蹴らせて回収して、そこから縦に出てFKを得るといういい入りを見せます。
入りの10分は激しくプレスを掛けて、以降はある程度最後尾には持たせるという守備をしてきた京都に対して、新潟は10分過ぎに秋山と中島のポジション入れ替える微調整もしつつ、ボールを持つ展開となりました。
前半についてアルベルさんは試合後のコメントで「悪いプレーだったとは思いません」と仰っていましたが、基本的にはそう思います。
どうしてもブロックを作る相手に対して、そのブロックの外というか、主に後方でボールを持つ時間が長くて思うように楔が打てていない状況だったのは否めません。ただ、小島がゴールキックで長いボールを蹴ったのは44分が初めてで、それまでは前から嵌めに来られていても繋ぐことにこだわっていたり、序盤に舞行龍やマウロが奪ってすぐ縦パスを狙った際にピッチサイドのアルベルさんが怒っていたように見えたりしたところからも、あまり攻撃を急がず、スピードを上げ過ぎないで、ポゼッションするところはしっかりポゼッションしてボールを動かす、ということを狙いとして持っていたように感じました。ですから仕掛けのシチュエーションは少なくても、悪くないという評価でいいのかなと感じます。
守備についても、以前大宮戦の戦評記事で3バック+2ボランチでのビルドアップへの対処を問題として取り上げましたが、この日はうまく対応できていたように思います。
・2トップが縦関係気味になって中央のCBとボランチ1人を見る。
・SHはもう1人のボランチを意識しつつ自分サイドのCBやWBにすぐ出られるようにする。
・ボランチは後ろの状況を鑑みながら相手のボランチに出られる時は出る準備をしてSHのタスクを減らす。
こういったことを連動しながらしっかり抑えることが出来ていて、相手のビルドアップに対して大宮戦のように不用意に中央のボランチが空くというシーンはほとんどなかったかと思います。
お互いにシュートが少ない展開の中、飲水タイム明け以降新潟が続けてチャンスを作ります。
28分、高い位置で新太が相手のパスミスをカットし、シルビを経由して中島がシュートを放ちます。
33分にも高い位置からプレスを掛けたのを起点に、相手のパスを至恩がカットして、最後は新太のシュートという決定機を作りました。
いずれもゴールとはなりませんでしたが、先に書いたようないい守備を発端としてチャンスが生まれました。
その中で、飲水タイム明けから至恩がそれまでよりもさらに内側に入って下りてボールに顔を出すようになった印象があり、それもいい流れを作る意味で効果を発揮していたかと思います。また新太の決定機のシーンもそうですがここ最近の至恩の守備の成長は目を見張るものがあります。
さて、あわよくば1点、でも別に0-0で試合を折り返しても問題ないかな、なんて思い始めていた終盤に落とし穴が待っていました。
41分、浮球の楔をシルビが一旦は収めますが、川崎に奪われて中川に繋がれるとそのままドリブルで運ばれてシュート。小島が弾いたところを中野に詰められました。失点。
小島の弾く場所がまずかったというのは、まあこれは自らも大いに悔いているところでしょう。要改善です。
あとはこのシーンに限らずこの日もいくつかありましたがマウロのタックルがどうなのかというのもあると思います。そういうプレースタイルでもありますし、事実素晴らしいインターセプトやカバーがこの日もありましたから、一概にスライディングの善し悪しは何とも言えませんが、デメリットな部分、リスキーな部分が出てしまいました。
前半終了、0-1。
せっかくいい守備も見られながら、ポゼッションに対しておあつらえ向きのショートカウンターによってビハインドを負うこととなってしまいました。

後半

新潟は頭から2人を替えます。
田上、ゴンサ→荻原、島田を投入します。
島田はそのままボランチ、荻原は左SBに入って新井が右に移りました。
48分にルーズボールを拾われたところから上月のクロスをフリーで宮吉に合わせられてヒヤッとさせられましたが、その3分後に試合を振り出しに戻します。
51分、前から奪いに来られながらも勇気を持って新井が自ら運び出します。右の中島へ預けて、中島は中央の至恩へ。寄せてきたDFを華麗なタッチと身のこなしでかわすとループパス。完璧な飛び出しと完璧なトラップで抜け出した新太が完璧なフィニッシュ!同点!
いーや、あえて倒置法にしますけど、至恩がかけましたよ、魔法。
ベルベットパス、エンジェルパス、ニュースステーションの川平さんじゃないですけどレインボーの軌跡が見えるパスでした。
守っている方からすればコンパクトさとかラインコントロールとかが全く無意味なものになってしまうわけですから、“やってらんねーよ”といった感じでしょう。今日もいいもの見せてもらいました。
なんかこれで終わりそうな書き方しちゃいましたけど、続きます。
試合後に至恩が話していた通り、後半は荻原と新井の両サイドが共に高い位置で幅を取れるようになったことで、結果的に中央も使いやすくなって好循環が生まれたということでしょう。また、前半に比べてボールを失った直後に素早く寄せて回収できるようになっていたのも見逃せない要因だったかと思います。
その中で攻守両面に効いていたのが島田ではないでしょうか。
ビルドアップの際はDFラインに下りてポゼッションのテンポを上げていましたし、守備でもここぞの場面でスプリントをして相手に寄せることで、仮にボールは奪えずとも前に運ばせないようにして、周りがプレッシャーをかけるための時間を作ってくれていました。
ここ最近どうしても島田の守備に目がいってしまうのはやっぱり彼のプレーが好きで気になって仕方ないのだろうなと自覚しています。
同点に追い付いて以降も押し込むことはできましたが、なかなか決定的なシュートというところまでは行けずに時間が過ぎます。
68分は新井の素晴らしいフィードからシルビが抜け出しますが、DFのカバーに遭ってシュートまでは行けず。
74分にも荻原のカットインから一旦は失いかけますが、至恩が粘ってこぼれ球をマウロが縦パス。中島がヒールでつないでシルビがエリア内でシュートもうまくヒットせず。すると直後にシルビ→善朗を投入。中島をトップに上げて善朗が右SHに入りテコ入れを図ります。
京都も77分に中川、宮吉→野田、谷内田と前線の3人の内2人を入れ替えてきます。帝京長岡出身の谷内田はこれがプロデビューとなりました。
そんな谷内田は入って早々に中央左寄りから仕掛けてシュートを狙うシーンがありました。デビューを新潟戦に持ってくるなんて實好さんも粋なことするなぁなんていうのはこっちの勝手な妄想で、たぶん中2日だからターンオーバーしようと思った試合が偶然新潟戦だったというだけの話だとは思います。それでも谷内田的にはこういう不思議な縁というか運みたいなものはあって損はないでしょうし、1人のサッカー好きな新潟県人として今後も遠くから彼の活躍を楽しみにしたいと思います。
もちろん、今回のようにアルビレックスと対戦する際はただの敵でしかありませんが。
さて最終盤に入り、京都は80分に川崎→庄司、89分には上月、中野→ジュニーニョ、ウタカと主力を投入して、システムも野田、ウタカの2トップで庄司をアンカーにするいつもの3-5-2へ変更して勝ち点3を取りに来ます。
新潟は89分に至恩→マンジーを投入し、再び中島を右SHに戻して善朗が左へ移ります。
そんな中で新潟の決定機が続きます。
88分には新井のクロスから中島が落として善朗のシュートがDFにブロックされ、直後のCKでは善朗のボールに新太のヘッドがポストに嫌われます。
さらにアディッショナルタイムに入って+2分には、舞行龍のワンタッチでのフィードに新太がうまく抜け出してシュートも、恐らくループを狙ったと思いますが、丁寧に狙い過ぎてGKの正面へ飛んでしまいます。
+4分には高い位置でマウロが奪って、島田が新太とのワンツーを狙い、こぼれ球を自ら狙っていきますがこれもDFにブロックされました。
試合終了、1-1。
最後のやつがどれか1つでも入っていれば……
たらればを言っても仕方ないのは分かっていますが、それでもそう思わずにはいられませんでした。悔しい。

比較の話

今回はボールの動かす部分について少し。
後半の方がテンポがよかったのというのは衆目の一致するところだと思います。その前後半の違いについて断片的なところではありますが、比較しやすいかなと思ったところを図にしていただきました。
 
 
まず1つ目が前半26分45秒~頃のシーンです。
CB間に下りたゴンサがボールを持ち、内側に入って下がってきた至恩へ入れます。至恩がワンタッチで戻すと、ゴンサはライン間に入った中島へ楔を入れました。決して悪くはありませんが少し考えた末に狭いところを選択して、結局中島から次の新太には通りませんでした。
 
 
そして2枚目が後半に入って53分50秒~頃のシーンです。
後半はボランチの島田が左に下りることが多く、前半と並びは替わっていますが、後ろを3人にしてビルドアップするという基本は変わっていません。
そしてこの場面では、中央になった舞行龍がボールを持ったところで、これも前半同様下がって受けに来た至恩へボールを入れます。そこから落とされたボールを今度は舞行龍がワンタッチで至恩の奥にいる新太へ楔を入れました。
このシーンも特に綺麗に中央を割って崩したというわけではありません。ただ、至恩が下りることで相手のボランチを引き付けてスペースを空け、そのスペースに入った新太が受けることでまたCBを引き付けて後ろにスペースを生み出すことが出来ています。
1枚目をもう1度見ていただければ分かると思いますが、こっちでも至恩が下がってできたスペースにシルビがうまくポジションは取っていて、欲しがってもいました。ここに前後半でのちょっとした意識の差を感じたと同時に、やっぱりこういう意識は大事なんだなと改めて思わされました。
その意識というのはつまり、ブロックの中に入れて、また出して、スペースを作ってまた入れてというボールの出し入れとスペースを使う意識です。特にブロックを作って守ってくる相手に対してはこの意識が必要になってきます。

この日の前半でストレスを溜めるのはもったいない

出し入れの意識が大事なのは何も崩しや仕掛けに直結するようなシーンだけではありません。CBからボランチに入れて、また落としをもらって隣のCBに繋ぐといった後ろでの何気ない繋ぎでもそうです。
ブロックで守る場合は基本的に相手のボールの動きによってラインを上げたり、スライドしたりと選手1人1人が動き、それがチームという集合体になりブロックとなって動きます。
ですから、ボランチや下がってきたSHなどに一旦入れることで、相手は寄せるために動きますし、CBに戻ったらまた陣形を整えるために動く必要があります。DFラインで横に動かすのも速く動かしたり1つ飛ばして動かしたりすることで相手のスライドにも速さを強要することができます。また速いだけの同じテンポでは慣れてきますから、緩急も必要になるわけで、この点でこの日もありましたが少し長く持つことで相手を誘き出してから横へ動かすプレーを見せていた中島なんかはさすがだなとも思うわけです。
ちょっと脱線しましたが、こうやって細かく入れて出してという地味な作業が、相手を動かして少しずつでも体力を削ることになり、また自分達の体力をセーブすることにも繋がります。
だから前半に関しても、後半のような中盤より前でスペースを作って使ったり、出し入れしたりするシーンは少ないながらも、低い位置ではそういった出し入れの意識がなかったわけではありませんでしたし、岡山戦もそうでしたが前述のように攻め急がないという意図もあったのかなと感じたので、決して悪くなかったと思った次第です。
とはいえ、どうしても縦パスが入らず後ろで持っている時間が長いというのはポゼッションするチームを見る上でストレスになりやすいところではあります。隣のお姉さん方も「なんかパス回しだけ見せられたね」みたいな感じで不満そうでした。
ただそういう後ろで動かすとか、前進できてはいないけど1回入れてもう1回出してみたいなことも全く意味のない物ではなくて、不必要なものでもありません。そういう時間が続いた場合はボールではなく、うちの選手がどこに立っているか、相手はどこに立ちつつどう動いているかみたいなことに着目すると案外違って見えて楽しかったり興味深く見られたりできます……なんてことをそのお姉さん方に伝えたとしたら当然気持ち悪がられるだけですし、そもそもこのご時世あんまり話しかけるのもよろしくないでしょうから、こうしてここで書いてみました。
まあ、だから書いてみたという理由の部分は半分冗談として、今回の試合を見て思ったことはそんなことだったので、またまとまりもないですが長々と書いてみました。

最後に

はい、終わります。
真夏のピークが去ったと天気予報士が伝えてくれるのはいつなのか分かりませんが、とりあえず次で真夏の8月5連戦はラストです(とはいえまたその次から5連戦part2が始まるわけですが)。
ちなみにリーグ戦を戦う上でチームの調子にピークというのは作らない方がいいそうです。ピークを作ると当たり前ですがそこから落ちてしまうわけですからね。ちょっとずつでも少しずつ上がっていくのが理想的なのでしょう。
新太が「良くなっている実感はある」と話していたように、まさに少しずつ上がっている成長過程の現在。連勝がない中でも選手がそう感じているということはとても大切なことですが、何とか3ポイントを取りながらそれを実感していきたいところです。

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