12年以上ぶりのグリンピース【戦評】第2節 V・ファーレン長崎戦

12年以上ぶりのグリンピース【戦評】第2節 V・ファーレン長崎戦

こんにちは。

夜な夜なボトルコーヒーと鈴カステラをつまみに、終盤ことごとくクロスが跳ね返され、さらにボールを奪い返そうとしてもファールになってイライラが溜まる相手選手の表情を、1人でニヤニヤしながら見て楽しんでいるって我ながらほんとうに性格悪いなって思います。

まあそんなことより何より嬉しくて素晴らしくて大事なことは、大きなストレスがハッキリと相手の表情に現れるくらい、最後まで集中を切らさず、足を止めず、やり切ってくれた我が軍の選手たちのファイトです。
ナイスプレー、ナイスゲーム、ナイス連勝、おめでとうございます、ありがとうございます。

スタメン

早速スタメンから振り返ってみましょう。
まず新潟ですが、ちょっとした問題があったらしく開幕戦は欠場となった舞行龍が無事復帰ということで、今季初出場となりました。
スタメン紹介では手違いで最初に史哉が出てしまいましたが、やっぱりスタメンは舞行龍でした。それにしても新しい2021年バージョンのスタメン発表の映像はとってもかっこよかったです。テンション上がりました。

対して長崎の方ですが、こちらは前節から澤田、富樫がベンチスタートとなってフレイレ、都倉がスタメンに名を連ねていました。
またその2人のメンバー変更に伴い、システムも開幕戦の4-2-3-1から3-4-2-1へと変えて臨んできました。
システム変更の理由について吉田監督は「相手のモチベーションは非常に高いと予想し、自分達もそれに負けないように」ということを試合後のコメントでは仰っていましたが、TeNYでの中継では新潟の戦い方に合わせての変更ということも紹介されていました。

左右非対称、時々4-4-2

アルベルさんが試合後のコメントで「今日の試合は2つの局面に分かれる」という話をされていましたが、その最初の11対11で戦えていたフェーズでは非常に落ち着いて主導権を握りながらプレーできていたかと思います。

それがよく表れていたと感じるのがビルドアップにいくつかの解決策(打開策)を持ちながらしっかりボールを動かせていたという部分です。

ということでまずは長崎の前線の守備の基本的な形について見ておきます。
新潟の方はボランチの1人が左に下りることで後ろを3人にしてビルドアップする形がよく見られたのですが、それに対して長崎の前線1トップ2シャドーの主な役割としては、まずトップの都倉は千葉、左のシャドーに入っていたルアンは舞行龍を見ていました。そして右のシャドーに入っていた名倉に関しては基本的にゴメスを見るタスクのようでした。

2CBにボランチが下りての3人vs1トップ2シャドーの3人という構図のマッチアップでは、後ろを3人にしたタイミングで前線の3人がそのまま自分の前にいる選手に対して内外いずれかを切りつつ出て行く形や、またはボランチが下りる前の2CBの内から1トップがどちらかのコースを切りつつボールホルダーのCBへ出て、誘導した側のシャドーが次の選手に出て行くというやり方など、まあいろいろやり方はあるわけですが、長崎に関しては先述のようにある程度担当する選手をそれぞれ決めて守る形をとってきました。ですから左に下りたボランチに対しては特に序盤に関してはほとんど寄せに行かず持たせていいという守り方をしていました。
真の意図は分かりませんが、個人的にはルアンを下がらせずにできるだけ高い位置でプレーさせたいというのがあったのかなと何となく推測します。
ちなみにそんなやり方だったため、高い位置に出る奏哉には左WBの米田が出ることで擬似4-4-2みたいに見えることもありました。

ルアンの外、外出たら中、個の運び

そしてそんな長崎の守り方に対していくつかの剥がす形を見せた新潟でしたが、その中でも特に綺麗にシュートまで持ち込んだ43分のシーンを取り上げて図にしていただきました。
流れとしては奏哉が航斗まで戻したところから千葉、舞行龍と繋ぎ、舞行龍からの鋭い楔を孝司が収めます。ロメロが落としのボールを受けると善朗とのパス交換から逆サイドに展開し、左サイドで受けた至恩が得意の仕掛けからシュートというものです。

一旦航斗までやり直したところで長崎はルアンが航斗まで出てきます。千葉に渡したところではやはり都倉が出てくるわけですが、その間にルアンはまず舞行龍ではなくより入れさせてはいけない中央のヤンへのパスコースを消すために少し下がる立ち位置を取りました。
するとそれによってルアンと舞行龍の距離が広がったため、再びボールを受けた航斗から外に開いた状態の舞行龍がフリーの状態でボールをもらって素晴らしい楔を供給することができました。
一旦やり直すことで、プレスを掛けに行くためにどうしても全体の陣形が少し縦に広がった状態を長崎に強いることができ、それによって決して近距離ではない舞行龍の縦パスしかり、その後のロメロのフォローから展開しかり、スムーズに事を運ぶことができていたように思います。

このシーン以外にも舞行龍がルアンの外側から運び出すシーンというのはありましたし、それ以外にもいくつかあった相手を剥がす形で言うと、例えば前節北九州戦でもあったように航斗が1つ飛ばした浮球のパスでSBやロメロに送るパスもありました。また少し開いた状態の舞行龍に対してルアンが付いている場合、中央へスッと顔を出してヤンが運び出すパターンもありました。
あとはスタンドからも大きな拍手が起こりましたが、千葉が自らドリブルで運び出す形もありました。前半の20分頃だったかと思いますが、あれは見逃し配信で見られるうちにもう1回見直しておくべきでしょう。
秀逸だったのは航斗からのパスを受けた左足でのトラップの置きどころ。そしてその後の右足アウトで運び出した2タッチ目。特に2タッチ目は追ってくる名倉に対して前に出られたり足を出されたりしないように先に名倉の前に体を入れられる場所へ運び出していました。開幕のたった2戦だけですがすでに抜群の存在感です。

中盤でも作った優位性

さて、最終ラインからの剥がしに関して取り上げてみましたが、同じように中盤でもいいシーンが何度も見られたので、そのうちの1つをこちらも作っていただいた図と共にご紹介したいと思います。

29分、奏哉から舞行龍、舞行龍から千葉と前を窺いながら最終ラインでボールを動かします。それに対して長崎は奏哉に米田、舞行龍にルアン、そして千葉には都倉がやはりここでも寄せに来ます。
さらに千葉にボールが渡った際、下がってサポートしようとしたゴメスには名倉が出る準備をしていて、新潟のボランチ2人にも長崎のボランチ2人がそのままきっちりと監視の目を光らせていました。これが先程少し書いた擬似4-4-2みたいな立ち位置です。

そんな長崎に対して新潟は千葉が少しボールを保持する間に善朗がボランチのカイオと左の米田の間にスッと顔を出して縦パスを受けられる位置を取ります。それに気付いたカイオはそこへ通させないように少し左へ動くのですが、その瞬間千葉から中央のコースへスパッと楔のパスがヤンへと送られました。
結局その後ミスが起こってチャンスとはなりませんでしたが、瞬間的に中盤で3(島田、ヤン、善朗)vs2(カイオ、秋野)の局面を作ってド真ん中を突くことに成功したというシーンでした。

まずはライン間、選手間に立って相手を惑わす善朗のインテリジェンスが1つ。またヤンも受ける前にちらっと善朗を確認していますから、自分が動き過ぎずその場に止まればフリーで受けられるという認識ができていたであろうことが1つ。そしてそういった考えの下プレーできていたのも、千葉なら前を見られているしパスも出せるだろうという技術への信頼がこのプレーにはよく出ていたかと思います。

善朗に関してはDAZN解説の永井さんも「相手の嫌なとこ嫌のとこに顔を出してるんですよね。そうすることによって相手の最終ラインもそこまで付いて行くのかどうか。(または)秋野選手、カイオセザール選手のような中盤の選手が高木選手を見るのか。そういった難しい状況を作っていますよね」と称賛されていました。

また、そんな相手の間に立ってボールをもらおうとする善朗のプレーと同じくらい重要に感じたのがロメロや孝司が裏やサイドへ抜ける動き出しをしていたということではないかなと思います。
善朗のプレーもそうなのですが、それ以上に映像では見られない部分なので現地で見る際はそっちを中心によく見ているのですが、ボールが出て来ずとも抜ける動きを繰り返すことによって相手の3CBを下げさせる効果を生み出していました。彼らがそうやって相手を押し下げてくれれば間で受けるスペースは広がりますし、間で受けて相手を前に引っ張り出せれば裏が空いて来ますし、こういった相互作用はうまく働いていたのかなと感じました。

ビルドアップの剥がしにせよ、中盤で優位を作るにせよ、つまりこれらはTeNYで解説されていた梅山さんが仰っていた「相手を見ながら落ち着いてプレーできている」ということだったのかなと思います。

前節からの修正と割り切り

続いて守備についても少し。

まずよかったのは前節のような簡単に裏を取られることもなく、非常に統率のとれたラインコントロールができていたということでしょう。そして常に縦横のコンパクトさを維持してスライドしながら内側は通させないようにしつつ、外側で持たれても自由にやらせないということを、10vs11になってしまったこの試合2つ目のフェーズ以降も変わらずに徹底できていました。

88分にフレイレの落としを富樫に詰められたもののオフサイドで切り抜けたシーンも、ブロックの外でボールが回っている間はちょっとでもボールが下がればラインを上げて、極力ペナルティエリアのラインに揃える丁寧なラインコントロールを見せていました。
そして中央から秋野が浮球のボールを入れた際も史哉はフレイレに付いて行かずしっかり止まることでオフサイドに仕留めました。バックスタンドの最上段から見ていても偶然取れたものではなく狙って取ったオフサイドというのがわりとよく分かったので、あの時間帯でもあれだけ冷静にやれていることに頼もしく感じられました。

至恩が退場してしまってから史哉と田上を入れて3CB(5バック)にするまでは、両SHも後ろに吸収されて6バックみたいになることもあり、ちょっと押されるがままみたいになって64分のルアンや68分の秋野といったシュートに晒される時間帯が続きました。しかしそこを何とか耐えたところで飲水タイムが訪れたというのは新潟的には“恵みの雨”ならぬ“恵みの水”だったかと思います。

追い方とセットプレー

あと気になることを2つ。

まずは前からの守備の追い方についてですが、トップの孝司がコースを限定し、それに伴って善朗やSHが次に出ていくわけですが、サイドに誘導した時にSHが外を切って内側で回収しようとする場合、もっとハッキリ外側を切ってもいいのかなと感じました。
この試合においては各自が2度追い3度追いしたり、孝司の献身的なプレスバックだったりのお陰で完全に外されて崩されるというシーンはありませんでしたが、外を切っているものの結局外に出されて動かされるシーンがいくつかあったので、そこをもっとハッキリ切るか、もしくは内側を消して外はやらせるというのを基本にしても全然問題ないかなと思います。いずれにしろもっと効率よく守る形に改良できる余地があるようには感じました。

もう1つはセットプレー。
37分秋野の右CKから新里のヘッドというシーンと、79分今度は左から秋野CKに都倉がヘッドというシーンが、いずれも少しマイナス気味の位置から似たような形で合わせられたのが気になりました。
まずうちはストーン1人+ゴールエリアラインに3人の計4人がゾーンで立ち、あとはマンツーという守り方をしているわけですが、そうなると大体1,2人フリーにしておくことを許容しないといけない相手がいます。1つ目に関してはそのマークを付けない新里に合わせられました。
この空いた選手をどうするかというのはこういう守り方をしている以上何かどうこうできるわけでもないのですが、ややマイナス気味に蹴ってゾーンで立つ3人を外したところから叩く形は恐らく狙いどころになるでしょうから、ここをどう対応するかは1つ課題でしょう。

2つ目に関しては島田がマークに付いていた都倉に合わせられた形ですが、ゾーンに立つ選手は高い選手から順番に配置をするので、マンツーで対峙する部分はどうしても高さ的に劣ることが多くなります。だからこちらの場面の課題としてはいかに自由にやらせないか、競り勝てずともできるだけ難しい体勢や状態を強いることができるかということになるでしょう。

最後に

初完封の航斗について。
相手CKの時に「気持ち!気持ち!」と声を掛けたり、1つ1つのクリアに対してもそのクリアした選手に対して「○○ナーイス!」という声がよくマイクに乗っていました。
また、後半アディッショナルタイムに入ってからの澤田が上げたクロスがミスとなったシーンでは「おーーーーし!!しゃーーーー!!」と、何とも文字では表現しづらい雄叫びを上げていました。このシーンを見てふと彼が大学1年の時のインカレで、スタジアム中に響く雄叫びを上げてスタンドが笑い混じりにザワついた光景を思い出して何だかまた笑えたのと同時に嬉しくなりました。

そしてもちろん威勢のいい声だけではありません。何と言っても初完封です。
立ち上がりの前半9分にあった米田のシュートこそ少しこぼしてしまい味方のクリアで事なきを得ましたが、それ以降に関してはルアンや秋野などの強烈なシュートもがっちりとキャッチしてこぼすことはありませんでした。
ここからさらにプロデビューからの連勝記録を続けてくれることに期待したいと思います。

くりはら
くりはら
鳥屋野潟ほとり出身のアルビレックス新潟サポーター。海外はアーセナル推し。Jリーグ、海外、2種、3種、女子、その他、カテゴリーは問わずサッカーが好き。ラジオも好き。某坂道グループもちょっと好き。

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